2010年度の研究実績は、学会報告や論文掲載である。成果のひとつは、国内外の学会での研究報告である。アジア政経学会(共通論題II「アジア地域制度の再検討」)、アメリカ国際政治学会(ISA)(分科会「環境保護におけるグローバル・ガバナンス」並びに「世界政治における公式・非公式制度」)、公法政治学研究会にてそれぞれ論文報告を行った。多方面から多くの質問やコメントがあり、本研究のアプローチや事例に対する関心の高さを感じた。 もう一つの成果は、Ritsumeikan International Affairsへの論文掲載である。ISAでの報告の前後から、複数の論文投稿依頼が来ていることから、次年度は予定通り海外ジャーナルの投稿に力を向けたい。 今年度の研究の内容としての成果は、会合の傍聴や聞き取り調査を中心とした海外調査、ならびに、研究交流を通じて、理論枠組みや論文についての助言を得たことである。 まず、分析枠組みの精緻化であるが、2010年冬から11年春にかけてイギリス、オランダ、カナダでの資料収集と研究情報交流を実施した。各所で分析枠組みに関する有益なコメントを得た。 次に、各事例のフォロー・アップとして、関連会合(東アジア酸性雨モニタリングネットワークの政府間会合、科学者会合、於新潟、タイ)のオブザーバ参加と聞き取り調査を実施した。会合では、2010年秋に合意された国際文書の背景にある複数のアクターの存在を把握することが出来たほか、署名しなかった国の理由についても聞き取り調査によりいくつかの要因を抽出した。 最後に、南アジアのマレ宣言について、2010年秋に関係者とのインフォーマルなインタビュー調査を実施した。その際、作業部会に参加する許可を得た。次年度から傍聴を実施することにし、これまでに収集した資料に加え、今後より詳細な裏付けを得ることが期待される。
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