平成22年度における研究は、当初の研究計画に掲げた「第1段階:平和構築過程における治安維持組織の活動事例の収集・整理」および「第2段階:収集した事例における治安維持組織の活動実態の分析・検討」を進めた。具体的には、本科研費補助金をもとに、国内外の文献資料の収集・整理を積極的に実施した。また同補助金を利用して、京都大学における国際法研究会に精力的に出席し、本研究課題にかかわる内容はもとより、国際法の諸分野にかかわる最新動向について、他の研究者との意見交換を進めた。 研究発表としては、平成22年7月に大阪大学関係者による国際公共政策研究会にて「グローバル・ガバナンスにおける国際法の役割-国際安全保障の観点から-」、さらに平成22年11月に京都大学における国際法研究会にて「集団安全保障体制の現代的展開-多国籍軍型軍事活動を素材として-」と題する報告をそれぞれ行った。 論文としては、7月の研究会における報告をもとに、「グローバル・ガバナンスと国際法との関係性に関する一試論-国際の平和と安全の維持における国連憲章体制を中心に-」『経済学論纂』第51巻第3・4合併号(平成23年3月刊行)を発表し、グローバル・ガバナンスという視点から、国際法、とりわけ国連憲章体制における国際の平和と安全の維持に関わる秩序について考察した。 以上の研究活動により、本研究課題に関わる治安維持組織の活動事例の整理が進展した一方で、国際の平和と安全の維持に関わる国際法秩序をグローバル・ガバナンスの視点から捉えることができ、次年度の研究につながる基盤を形成することができた。
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