研究概要 |
前年度までの研究において,様々な化学組成や液性を有する温泉水試料について分析可能な測定機器等(電気伝導度計,pHメーターおよびデジタルパックテスト等)の選定および,測定濃度の検定を行った。その結果,試料の液性が極端に酸性のものや溶存化学種が非常に高濃度の温泉水試料では,適正な濃度を測定することが難しい測定機器もあったが,弱酸性から中性の液性で,比較的低濃度の温泉水については±10%程度の誤差で測定可能な分析機器を選定することができた。そこで,本年度はこれらの分析機器を使用した「理科課題研究」における教材案の検討を行った。 まず,大分県由布市湯布院町の河川に流入する温泉水の影響評価に関する研究テーマの検討を行った。由布市湯布院町は,毎年数万人の観光客が訪れる温泉地であり,近年温泉排水等の流入により河川の水質変化が問題となっている。そこで,それらの温泉の影響をデジタルパックテスト等の簡易測定機器により定量的に評価することを試みた。次に,大分県日田市の河川水の水質評価に関する研究テーマの検討を行った。日田市は,三隈川や花月川といった透明度の高い清流が流れており「水郷ひた」として有名である。そこで,これら河川の水質状況について,生徒自らが評価することが可能な測定機器の選択および検討を行った。第3のテーマとして,福岡県の船小屋温泉の温泉水の起源に関する研究テーマの検討を行った。船小屋温泉は,福岡県筑後市に位置する日本有数の炭酸泉である。 その船小屋温泉の泉質を特徴づける炭酸成分の起源についての検討を行った。
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