研究概要 |
本研究の目的は,大学生の不眠のサブタイプに応じた集団認知行動療法プログラムを開発することであった。そこで平成22年度においては,文献研究と調査研究を実施した。調査研究では,大学生の不眠症の悪化に寄与すると思われる認知行動的要因に注目し,睡眠状態との関連を検討した。用いられた測定指標は以下のとおりである。(1)ピッツバーグ睡眠質問票(以下,PSQI):Buysse,Reynolds,Monk,Berman & Kupfer (1989)の作成したThe Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)を元に土井・蓑輪・内山・大川(1988)が作成したPSQIを用いた。なお採点方法は、土井他(1998)を元に行った。(2)入眠時選択的注意尺度(以下,PSAS):山本・宗澤・野村・根建(2007)で作成されたものを用いた。1(全く気にならない)~5(非常に気になる)までの5件法で回答を求めた。(3)入眠時認知活動尺度(以下,PCAS):宗澤・伊藤・根建(2007)で作成されたものを用いた。1(全くあてはまらない)~4(非常にあてはまる)までの4件法で回答を求めた。(4)日本語版睡眠に対する非機能的な信念と態度質問票(以下,DBAS):宗澤・Morin・井上(2009)で作成されたものを用いた。0(全くあてはまらない)~10(非常にあてはまる)までの10件法で回答を求めた。(5)不眠症状における安全行動尺度:宗澤・根建(2005}で作成されたものを用いた。1(少ない)~4(多い)までの4件法で回答を求めた。またデータ分析においては,主観的な睡眠に不満を持つ者のみを分析対象とするため,PSQIの「過去1ヵ月間におけて、ご自分の睡眠の質を全体として、どのように評価しますか?」という質問に対して「3.かなりわるい」または「4.非常にわるい」と回答した61名を分析対象とし,クラスター分析を行った。その結果,4つのクラスターが抽出され,各クラスターにおいて認知行動的要因に差が見られ,サブタイプの抽出と記述がなされた。
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