プリテストを行い質問項目のワーディングやフレームの操作を行うための文章についての検討を重ねた上で、2011年2月に株式会社クロス・マーケティングのリサーチ・パネルを対象としたウェブ調査実験を実施した。まず、調査対象者を抽出するためのスクリーニング調査を行い、政治関心・政治的有効性感覚についての実験操作を行う前のデータ、および基本的な属性に関するデータを取得した。スクリーニング調査の対象となったのは5612名である。さらにスクリーニング調査から1週間後の間隔を置いた上で、5612名のうち1415名に対して本調査を実施し、私的生活との関連で政治を捉えるフレーム・政治を抽象的な理念をぶつけあわせる場として捉えたフレームを提示した上で、政治関心・政治的有効性感覚等の変化について検討した。その結果、私的生活との関連で政治を捉えるフレームを提示したことの効果が見られたが、効果の詳細については2011年度も継続して検討を行った上で研究成果を論文にまとめる予定である。また、これまで著者が行ってきた有権者の行動やマスメディアへの接触についてまとめるとともに量的・質的研究についてレビュー論文を執筆した。フレーミングはマスメディアにおける報道と密接な関連を持っており、2011年度に研究成果を発表する上での土台となるものである。さらには、申請段階での研究計画では予定していなかったが、練馬区選挙管理委員会における学生のインターンシップ活動の取材を行う機会を得た。選挙管理委員会におけるインターンシップは、キャリア教育と有権者教育としての側面が両立しており、2011年度における検討テーマの一つとなる「仕事」と「政治」の関連を考察する上で、重要なケースとなるものである。
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