本研究では、侵入思考への対処方略と統合失調症で問題となる認知機能の関連を検討した。一連の研究から、統合失調症患者および統合失調症型パーソナリティ傾向の高い人は不適切な対処方略を用いることが多く、不適切な対処方略は認知機能と負の関連を示し、外的統制傾向とは正の関連を示すことが明らかになった。また、縦断データから対処方略と被害妄想的観念の因果関係を明らかにするため、交差遅れ効果モデル、および同時効果モデルによる因果の推定を行った。その結果、心配と再解釈の対処は被害妄想的観念の頻度、および確信度を高めることが示唆された。逆に、罰の対処は被害妄想的観念によって促進されることが示唆された。
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