本研究の成果として、以下の2点があげられる。(1)保育記録分析により、保育者の捉える保育の質とは、保育者と子どもの関係性を中心とした日々の実践のプロセスそのものであることが明らかにされた。また、保育者と子どもの関係性においては、子ども一人一人とクラス集団(個と集団)との同時並行的な関係性のバランスの維持によって、子ども・保育者の関係性が発展していることも見いだされた。(2)保護者の語りから、保護者にとっての保育の質とは、単に安全に子どもを預かるというレベルにとどまるものではないことが明らかになった。すなわち、安全を基盤とし、保育者との関係性の深まりの中で、子どもの育ちを支えるという同じ方向を向きながら、保護者自身のさまざまな思いも共有できるような保育者との関係性にまで質の意味を見出していることが明らかになった。
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