| 研究概要 |
本研究では「製品(財)市場における企業間の競争状態と株主還元(ペイアウト)政策に関する実証分析」という課題のもとに,次の二点を明らかにしたいと考えている.(1)製品市場における企業間の競争状態といった実体経済の側面と,経営上の裁量的判断でもある株主還元(ペイアウト)政策といった金融的側面が,どのような動的関係にあるのかを明らかにする.(2)(1)をふまえて,コーポレート・ファイナンスの観点から企業の競争政策への展望的考察をもたらす
本研究の最大の特徴は,市場集中度,及び,産業内における個別企業の市場支配力といった複数の観点で企業の競争状態をとらえたうえで,そのような実体経済の側面が企業の配当政策といった金融的側面とどのような動的関係にあるのかということを実証的に分析する点にある
製品市場における企業の競争状態とコーポレート・ファイナンスに相互関係があることは,欧米の理論的研究を中心にいくつかの結論が既に導かれている.しかしながら,理論的研究を支持するための実証研究は欧米においても少なく,国内においてはまだない.したがって,両社の相互関係を把握するために実証研究を行う学術的意義は大きいと考えられる
当該年度に実施した研究の成果は次の通りである.まず,コーポレート・ファイナンスと産業組織論のそれぞれの分野で先行研究をサーベイし仮説の構築を行った.と同時に,実証結果を考察していくための既存理論の分類と整理を行った.次に,データセットを組み立てるとともに必要な変数を準備し,実証分析を行った
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