研究概要 |
1)グローバルCOE「生存学」創成拠点 国際プログラム(2011年11月)で、「〓〓〓 〓〓〓〓〓〓 〓 〓〓〓 〓〓 〓〓〓 〓〓(日本における聴覚障害児をもつ家族への心理的支援)」について研究発表を行い、韓国の聴覚障害教育関係者にインタビューし、韓国の実情など把握を行った。 2)聞こえない者をもつ母親2名に半構造化面接調査を実施した。面接調査のデータと平成22年度の面接調査のデータ(9名)と合わせて質的分析し、それらをもとに質問紙項目を抽出し、質問紙を作成した。平成23年度3月に近畿地区の難聴児親の会の協力を得て配布回収し、多変量解析を用いて分析した。 3)成人の聞こえない人たち(軽度難聴者)のグループワークの参与観察調査を実施した(平成23年7月、10月)。 4)聞こえない児童生徒の支援に関わる支援者(関東地区の児童関連施設、九州地区の特別支援学校)2名にインタビュー調査を実施した。 1)から4)の調査の結果、聴力が90dB以下の子どもをもつ母親の【茶の間で孤独だった我が子に対する心情】から、軽・中等度難聴は三者以上の会話になると発話者の特定がむずかしくなり、複数の発話の重なりにほとんど対処できなくなる(河崎ら,2008)ことを家族が認識もしくは理解していない可能性が考えられた。また、【手話について】から、手話を自分の子どもとのコミュニケーションに活かそうという感覚がないことも考えられた。その一方、【望ましい心理臨床的支援の姿】では、「聞こえにくい」という特性のため家族が支援を受けられないという悩みから、個別心理カウンセリングやピアカウンセリングを求めていることが考えられた。聴力が90dB以上の子どもをもつ母親たちの【手話について】では手話が覚えられないという悩みが出され、【茶の前で孤独だった我が子に対する心情】として、寂しい思いを子どもにさせたという気持ちが出ていたことが考えられた。そのため、それぞれの発達段階に応じたコミュニケーションや対応方法についての情報提供による支援を求めていることが考えられた。 5)得られた研究成果を支援現場にフィールドバックするために、手話通訳者や聴覚障害児関連施設職員などで構成された手話で語る心理臨床研究会や、聴覚障害/ろう(聾)者の言語・文化・教育を考える研究会を立ち上げ、慶應義塾大学松岡和美教授をお招きし、「手話言語学入門:手話の文法・手話失語・ろう児の言語獲得」というテーマで専門的知識の提供をしていただき、知見を深めることができた。
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