研究課題
本研究の目的は、製造業と比較してサービス産業企業の国際化の要因と帰結を明らかにすることである。人口が減少する中で、内需型のサービス部門の国際化の促進は大きな政策課題である。平成23年度(2011年度)、本研究は、『企業活動基本調査』(経済産業省、2001-2008)から構築した企業レベルデータを用いて、サービス部門の国際化の要因と帰結を精緻な手法により、先駆的に明らかにしてきた。第1に、大規模な企業レベルデータを用いて、サービス部門における多国籍企業(海外に子会社を持っている企業)の特性を、厳密な統計的検定(コルモゴロフ-スミルノフ検定)によって分析した。その結果、サービス部門においても、製造業部門と同様に、多国籍企業の生産性が非多国籍企業に比べて高いことを明らかにした。加えて、製造業と同様に、サービス部門においても、多くの地域に外国子会社を保有しているほど、企業の生産性は高い傾向にあることも明らかにした。第2に、本研究は、製造業と卸売業の輸出が日本国内の雇用に与える影響を傾向スコア法により分析した。これまでの研究と異なり、労働時間単位の精緻な分析により、輸出によって、製造業では雇用が増加することを明らかにした。さらに、輸出が非正規雇用に与える影響はほとんどないことを製造業と卸売業に関して明らかにした。これらの分析結果は、今後の経済産業政策の立案にあたっての基礎的な情報として有用である。また、研究成果は、ディスカッション・ペーパーとして公開されるとともに、Fall 2011 Midwest International Economics Conferenceなど国内外の学会で報告された。
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Kyoto University, Graduate School of Economics, Research Project Center Discussion Paper Series
巻: No.E-11-009 ページ: 1-23
巻: No.E-11-008 ページ: 1-19
RIETI Discussion Paper
巻: No.11-E-059 ページ: 1-44
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/11070005.html