研究概要 |
本研究の目的は,夢見中の脳活動や夢見のメカニズムを探るための実験システムおよび脳活動パタン解析手法の開発と検証を,効果的かつ効率的に行うことである。本年度の目標は,22年度で開発した実験手続きをベースにREM睡眠期に適用可能なものへと展開することであった。以下に,本年度の成果をまとめる。 実験参加者は睡眠障害のない健康な成人2名であった。1夜目と2夜目には、実験参加者を実験環境に適応させるための順応セッションを実施した。3夜目には、sleep interruptionおよびmultiple awakeningを実施しないコントロールセッションを実施した。4夜目以降から、sleep interruptionおよびmultiple awakeningを実施する実験セッションを行った。コントロールセッションでの睡眠判定結果より、第4周期のNREM睡眠が終了しREM睡眠が開始する時刻をあらかじめ同定しておいた。実験セッションではこの時刻に被験者を覚醒させ、sleep interruptionをおこなった。その後午前8時までは、洗顔、洗髪をしたり朝食をとってもらい過ごさせた。その後午前8時から9時までの1時間、コンピュータゲームを実施した。午前9時からmultiple awakeningを実施した。入眠後30分間が経過した後に、入眠時REM睡眠が出現したら覚醒させ、主観的状態に関する調査をおこなった。この手続きを3時間実施した。合計7回の実験において121回覚醒させ,REM睡眠が先行するawakeningから46、つまり1実験で約7の視覚的な夢見報告および関連する脳活動データが得られた。通常の手続きでは多くても2回しかREM睡眠が先行する夢報告は得られない。このことからも本研究の手続きの有効性が確認できる。これらのデータとMiyawaki et al,(2008)の再構成技術を組み合わせることで、REM睡眠の夢見のメカニズムの解明に光明を投じることが可能となる。
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