符号,格子,頂点作用素代数(以後VOAと略す)という,互いに密接な関係を持つ数学的対象がある.本研究の目的は,これら3者の分類に向けて,それぞれの数学的性質(最小距離やt-デザイン)を明らかにする事である. 平成23年度及び,繰越した平成24年度においては,大きく分けて4つの研究を行った.1つ目は72次元の極限的TypeII格子がG. Nebeにより発見されたが,その格子を用い,72次元のoptimalな自己双対格子を構成した.2つ目は,Assmus-Mattsonの定理により符号から組合せ5-デザインが構成されるが,6-デザインは構成されない事を多くの符号について示した.3つ目は,格子のフレームの存在性である.格子のフレームは符号やVOAと密接に関係するが,その存在性は,ランクが24以下の特別な格子についてのみ解決されていた.この結果を大幅に拡張し,ランク64までの特別な格子に対して存在性を決定した.これにより,長さ64以下の極限的Z2k-符号の存在も決定した.4つ目は,近年発見されたマシュームーンシャイン現象に現れる,モックテータ関数のフーリエ係数について研究した.マシュームーンシャイン現象とは,あるモックテータ関数のフーリエ係数が,一番大きなマシュー群の既約表現の次元の正整数係数の線形結合で書けるであろうというものである.この現象に現れる,マッカイ‐トンプソン級数のフーリエ係数の持つ合同式を多数発見した.この現象に現れるモックテータ関数は,ラマヌジャンの発見した多くのモックテータ関数を含む.これにより,Cheng-Duncan-Harveyの予想も解決した.
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