本研究では、時空メトリックの全ての習成分を取り入れた上で、高速で自転するブラックホールを含んだ、ブラックホール-中性子星連星の準平衡解を構成することを目指している。そして最終目標として、連星間距離が離れているところから中性子星がブラックホールによって大きく潮汐変形され、質量放出を開始する直前までの物理過程を調べることを掲げている。昨年度、この研究課題を遂行するのに必要な定式化が完了し、更に孤立した高速で自転するブラックホールを数値的に解くことができるようになった。本年度は、引き続き数値計算コード開発に力を注いだ。まず最初に行なったのは、ブラックホール-中性子星連星のもう一方の星である中性子星に関する部分のコード作成である。孤立した中性子星を十分な精度で問題なく解くことができることを確認した後、最終的な、ブラックホール-中性子星連星の準平衡解を得るための数値計算コード開発を目指した。現在までに、開発が終わったブラックホールに関する部分と中性子星に関する部分を合わせた、連星系を求める数値計算コードがほぼ完成し、テスト計算を開始する段階になっている。今の時点では本研究の最終目標には達していないが、時空メトリックの空間成分のうち、今までのブラックホール-中性子星連星の一般相対論的準平衡解の研究では考慮されていなかった成分を全て取り入れ、更にブラックホールの高速自転を実現する手法を開発することに成功した。今後、テスト計算で問題が発生しないことが確認されたら、最終的な数値計算を行なってデータを取得することにしている。その結果は、平成24年度中には発表するつもりである。
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