研究課題
前年度に引き続き、超高圧核磁気共鳴(NMR)技術の開発を行なった。前年度の試行により、これまでの10GPa級の技術とは異なる配線方法・光導入法が必要であることが判明していた。本年度の研究により、少なくとも10GPa前後までは、多本数の配線でも歩留まりが高く安価な光ファイバーも導入可能な新配線法を開発した。つまり、超高圧NMR実験が極めて簡単に行えるようになった。詳細は、高圧力学会の来年度の会誌に掲載される予定である。また、これまで鉄系の物理圧力下超伝導を行なってきたが、比較のためにAs/P置換による化学圧力効果をSrFe_2As_2のMRを用いて研究した。Pドープ系はBaFe_2As_2において精力的に研究されてきており、高い転移温度を持つ鉄系超伝導の中では異例となるラインノードの対称性が報告されてきた。また、最近、反強磁性と超伝導の共存も報告されている。しかし、単結晶育成が難しく、Pドープ系では単結晶NMR実験は殆ど行われていなかった。その中、SrAsセルフフラックス法により、mmサイズの単結晶を育成することに初めて成功した。P量を25%付近の相境界にチューニングして単結晶NMR実験を行なった結果、ある試料ではほぼ同温度で反強磁性と超伝導の共存状態に転移した。ただし、以前報告した物理圧力下の共存状態と異なり、空間的に均一に近いと思われる共存状態であったため、両者の違いを明らかにする予定である。
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Physica C
巻: 471 ページ: 630-633
http://masashi.issp.u-tokyo.ac.jp/kitag/index.html