研究課題
まず前年度から研究を行ってきたPoisson点過程に従って多項式減衰するポテンシャルを配置した放物型Anderson模型について、その解のFeynman-Kac表現から定まる拡散粒子の軌道の空間上のGibbs測度のもとで粒子が局在していることの証明に成功した。同種の問題については、各点に配されたポテンシャルが台コンパクトの場合にのみ先行結果が存在するが、多項式程度の遅い減衰のものを考えると状況が一変することが知られている。従って局在の証明も本質的に異なった方針で行うこととなり、さらに適切なスケールで変換した粒子の法則は、先行研究とは全く異なるものに収束することまで示した。また証明の手法自体もより一般の空間相関を持つ確率場に対して適用できる可能性をもつ普遍的なものであり、これまである種の短距離相関を仮定して行われてきた放物型Anderson模型の研究に新しい方向性を提示することにもなっている。次に日本大学理工学研究科の久保田直樹氏と共同で、ランダム媒質中のランダムウォークの大偏差原理に関する研究を行った。この種の問題は近年進展が著しいが、我々の研究ではランダムポテンシャル中の拡散過程との関連を見出してランダムな待ち時間をもった状況にまで結果を拡張した点に特徴がある。さらに大偏差原理を支配するレート関数の遠方での漸近挙動を決定するなど、より精密な結果も得ている。これらの結果は既に論文にまとめて学術雑誌に投稿中である。
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Annals of Probability
巻: (印刷中)
Markov Processes and Related Fields
巻: volume17-3 ページ: 447-482
http://www.math.titech.ac.jp/~ryoki/index.html