研究概要 |
当該年度において,次を示した.リッチ曲率が一様に下に有界なリーマン多様体の列のグロモフ・ハウスドルフ極限空開をXとする.このとき, 【1】:Xの中の三点をp,q,xとして,xはそれぞれp,qのカットポイントではないとする.このとき角度pxqがアレクサンドロフ幾何のときと同様にして定義できることを示した.特にこれまでの研究代表者の研究によって得られた結果から,ほとんどの場合で角度が定義できることがわかる.また,そのヘルダー連続性,グロモフ・ハウスドルフ位相に関する連続性を与えた. 【2】:Xには弱い意味で二階微分可能な構造が入る特にX上の関数が二回微分可能であるという概念を与えることができ,例えばディリクレ問題に関するラプラセアンの固有関数が二階微分可能関数であることを示した.特にL^2空間の中で二階微分可能な関数全体は稠密であることがわかった.またその二階微分可能な構造に対して,Xのリーマン計量が一階微分可能であることを示した.特に,Xにはレヴィチビタ接続が一意的に存在することがわかった.従って,二回微分可能な関数に対してそのヘッシアンの定義を与えることができ,それがほとんど至る所対称であることを示した. 以上の結果を以下にまとめた: i.S.Honda, A weakly second differentiable structure on rectifiable metric measure spaces, submitted, arXiv : 1112. 0099.
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