研究課題
平成22年度の研究では、昼側低緯度電離圏でのPc5周期帯(100-600秒)地上磁場変動と同期した電離圏電場変動をFM-CW電離圏電場観測システムにより捉える事に成功し(Ikeda et al.,2010)、Pc5周期帯の地上磁場変動と電離圏電場変動の相関、位相等、比較解析を行った。低緯度で観測されるPc5周期帯電離圏電場変動を地上磁場変動と比較すると、電離圏電場変動は昼側赤道付近の地上磁場変動と最も高い相関を示す事が分かった。赤道域では電離圏の電気伝導度が高く、地上磁場変動に電離圏電場(電流)の影響が強く反映されるため、Pc5周期帯の地上磁場変動は電離圏電場(電流)によるものと結論付けられた。さらに、低緯度電離圏電場と赤道域地上磁場変動には、現象の周期によって位相差が変化する傾向が確認された。現象の周期が短くなるほど、位相差が小さくなり、電離圏がLR回路(コイルと抵抗を含む回路)のような役割を果たしている事が発見された(2010 Western Pacific Geophysics Meetingにおいて研究代表者が報告)。この特徴は赤道域の電離圏電気伝導度が高い為に現れると考えられ、地上磁場Pc5の励起源が電離圏電場(電流)である事を強く示唆している。本研究の目的である「地上磁場Pc5の励起機構の解明」は、以上の結果から、電離圏の電場(電流)が地上磁場Pc5を励起していると考えられ、地上磁場Pc5は電磁波動の磁場変化を直接的に反映しているものでは無い事がわかった。これまでの多くの研究の対象領域は、地上及び磁気圏であったが、本研究ではその間をつなぐ領域である電離圏を含めた特性を明らかにでき、地上磁場Pc5を励起する要因を明らかにできた。
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J.Geophys.Res.
巻: (in press)
Advances in Geosciences
巻: Vol.21 ページ: 379-391
SOLAR-TERRESTRIAL RELATIONS AND PHYSICS OF EARTHQUAKES PRECURSORS, V INTERNATIONAL CONFERENCE, COLLECTION OF THE REPORTS
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http://news.sci.kyushu-u.ac.jp/jokrozflp-20/