研究概要 |
・C_2-型変形から定まるゴルディアン複体に関する研究を引き続き行った.一方で,Horiuchi-Ohyamaによって,nが4以上の場合はC_n-型変形から定まるゴルディアン複体がGromovの意味で双曲的でないことが明らかにされた.この結果は当初予想していたものと逆のものであるが,一番興味のあるnが2の場合はまだ明らかにされておらず,引き続き研究が必要である. この結果から,結び目不変量で変形することが,ゴルディアン空間で幾何を展開する上でも重要であると考えられ,これに関しては現在研究中である. また,これらの研究成果は東京理科大学で催された2011年度日本数学会総会にて「ゴルディアン複体の双曲性について」という題目で,共同研究者である市原一裕氏により発表された. ・交代結び目のアレクサンダー多項式の特徴づけ問題に関する,これまでの結果を踏まえた上での最新の結果をまとめた論文"Alexander polynomials of alternating knots of genus two III"が雑誌「Topology and its Applications」(査読有)から出版された. この論文は,近年Murasugiによって発展がもたらされた,交代結び目のアレクサンダー多項式が成す集合の漸近挙動を捉えるという側面からも,興味深い結果といえ,理想境界を考えることで結び目を調べるという,本研究のテーマからも大変興味深い結果だといえる.一方でこの結果は,交代結び目のアレクサンダー多項式の零点と結び目のファイバー性に関するMurasugiによる予想の種数2以下の場合に対する肯定的な解答を与えるという点でも興味深い結果であるといえる. これらの研究成果を東京理科大学で催された2011年度日本数学会総会にて「種数2交代結び目のアレクサンダー多項式」という題目で発表した.
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