半導体のモデル方程式の一つであるシュレディンガー・ポアッソン方程式系を空間2次元において考察すると、ポアッソン方程式の解を与えているニュートン核の形状がlog型関数になることに起因し、ポアッソン方程式で定まる非線型ポテンシャルが遠方で発散するものになる。この状況を一般化し、遠方で増大するような積分核との合成積により与えられる非線型項を持つ非線型シュレディンガー方程式を考える。その高次元からの自然な導出とは対照的に、その扱いは高次元とは全く異なるものが必要となる。本研究では、シュレディンガー方程式固有の保存法則を利用した方程式の変換を新しく導入することによって、この方程式の数学的な取扱いを確立した。その中で、このような非線型が線型ポテンシャルのような効果を含むことが明らかになった。具体的な成果としては、初期値問題のエネルギー空間における時間大域的適切性が得られている。また、調和振動子に現れる2次ポテンシャルをとった場合には、非線型方程式にも関わらず解の陽表示が得られた。この解はその挙動を非常に詳細に調べることが可能であるので、非線型性の与える効果の理解にとって非常に役に立つものである。また、この特殊なモデル自体も興味深い例を含んでおり、このモデルを用いることで、安定な励起状態解が存在しうることを例示した。
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