研究課題
本年度は独立2層コンタクトを持つ2層系量子ホール効果測定用素子を用いて、実際に測定を試みた。この研究は、2層系v=1量子ホール効果において、主に層間のコンダクタンスを測定し、この状態に現われる様々な相の特徴を捉えることに目的がある。中でも、ジョセフソン効果に類似のコヒーレントな状態を検出することや、ソリトン格子相におけるソリトンの集団励起を検出することが主な目的である。2層独立コンタクトの2層系試料は、この試料を用いた研究で既に実績のあるドイツMax-Planck研究所のvon Klitzing教授のグループと共同研究することになったため、そこから提供していただいた。その試料を測定したところ、オーミックコンタクトに不良があり、磁場を掛けると抵抗が発散するなどの現象が見られたため、v=1状態が観測できず所期の目的を達成するまで至らなかった。しかしながら、ゲート電圧の操作により2層を分離して電流を流したりするなど、測定方法はいろいろと試してみたので、この試料に習熟することができた。2層系v=1状態に超伝導ジョセフソン効果と同じような層間コヒーレンスがあることを直接検証できれば、この系が複合ボゾンモデルによって記述できる量子凝縮状態であることが明らかにできる。これは、粒子の量子統計性に関する新しい知見をもたらす画期的な成果である。ソリトン格子相はそれ自体超伝導の渦糸格子に似ているが、量子ホール効果でこのような状態の観測に我々が初めて成功しており、その集団励起状態などを詳しく調べることで重要な成果をあげられる。
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