研究課題である蛍光性リガンド群の開発を鋭意行った。具体的には、核酸塩基認識部位と蛍光シグナル応答部位を連結させたコンジュゲート群の網羅的な合成を行い、これまでにシトシン、チミン結合選択性ナフチリジン、グアニン結合選択性プテリジン、チミン結合選択性ジアミノピアジン誘導体とシアニン誘導体Thiazole Orangeコンジュゲートの合成に成功した。また、マルチカラー蛍光アッセイを試行し、異なる蛍光波長を有するシアニン誘導体の合成経路を確立した。以上のことから、それぞれの核酸塩基認識部位に異なるシアニン誘導体を連結させることが可能になり、効率的にマルチカラー蛍光リガンド群の確立を達成できたものと言える。 一方で、合成したコンジュゲートのDNA結合能評価を行った。その結果、ナフチリジン誘導体-Thiazale Orangeコンジュゲートがシトシン、チミン選択的に結合し、1000倍以上という明瞭なThiazole Orange由来の発蛍光応答を示すことを見出し、本リガンドがシトシン、チミン選択的な非共有結合ラベル化試薬として有効に機能しうることを示した。
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