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2011 年度 実績報告書

高機能二核典型元素反応剤の開発とその反応性

研究課題

研究課題/領域番号 22850014
研究機関九州大学

研究代表者

西形 孝司  九州大学, 先導物質化学研究所, 特任助教 (90584227)

キーワード還元的アルキル化 / ルテニウムクラスター / シラン / エステル
研究概要

アルキル化反応は現在様々な方法があるが、その殆どがハロゲン化アルキルを用いる反応であり、エステルなどのカルボニル化合物を還元しながらアルキル化反応を行うことは困難であるのが現状である。エステルは、化学修飾しやすく、また、官能基耐性も高いため、もしこの官能基がアルキル化剤として使うことができれば有機合成上非常に有用な反応となる。そこで、このような達成の難しい反応を、還元剤とアルキル化剤の2つの機能を持つ二核ケイ素反応剤で達成することを検討した。その結果、エステル、二核シラン(Me_2HSi-O-SiMe_2H)、ルテニウム触媒に加え、アンモニア等価体であるトシルアミドを基質として加えたところ、エステルの還元、続くアミドの付加が起こり、還元的N-アルキル化反応が進行することを見出した。これは、エステルをアルキル源とする新たなタイプの反応であり、アルキルアミン合成の新たな選択肢の一つとなる重要な発見である。この反応は系中で二核ケイ素反応剤が生じ、円滑に"エステルから還元で生じたアルキル基"が窒素上に導入されることで反応が進行する。これは、当初想定した"二核ケイ素反応剤の機能性"に合致し、見事に反応性を具現できた。さらに、この反応を応用することで、アザシクロアルカンやスピロアザサイクルといった天然物アルカロイド類に見られる骨格合成に適用可能と期待している。本反応には、光学活性エステル(エステルのα位に不斉点を持つ化合物)を原料にすることも可能であり対応する環化反応を基質の光学過剰率を100%保持したまま行うこともできる。
さらに、これとは別にルテニウムシラン系をビニルエーテル(CH_2=CR'-OR)に適用すると、転位生成物(R-CH_2CR'O)が得られることが分かった。ビニルエーテルからケトンやアルデヒドを温和な条件で合成できる方法として期待できる。
以上、2年間の研究では、二核シランの反応性を用いて、ベンゼンのアルキル化、窒素の1、3級アルキル化、含窒素環状化合物、ビニルエーテル転位反応を達成することができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Viny1 Polymerization vs [1,3] O to C Rearrangement in the Ruthenium Catalyzed Reactions of Viny1 Ethers with Hydrosilanes2012

    • 著者名/発表者名
      Nari-aki Harada, Takashi Nishikata, Hideo Nagashima
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 68 ページ: 3243-3252

    • DOI

      10.1016/j.tet.2012.02.025

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hydrosilanes are not always a reducing reagent : a ruthenium-catalyzed introduction of primary alky1 groups to electron-rich aromatic rings using esters as a source of the alky1 groups2011

    • 著者名/発表者名
      Hideo Nagashima, Yuichi Kubo, Mitsunobu Kawamura, Takashi Nishikata, Yukihiro Motoyama
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 67 ページ: 7667-7672

    • DOI

      10.1016/j.tet.2011.08.033

    • 査読あり
  • [学会発表] ルテニウムクラスター触媒によるエステルをアルキル源とするN-アルキル化反応2012

    • 著者名/発表者名
      西形孝司
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応大学
    • 年月日
      2012-03-25
  • [学会発表] ルテニウムクラスター触媒によるエステルの還元的アミノ化反応2011

    • 著者名/発表者名
      西形孝司
    • 学会等名
      第41回複素環化学討論会
    • 発表場所
      熊本市民会館
    • 年月日
      2011-10-20

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公開日: 2013-06-26  

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