研究課題
本研究では有機トランジスタ(Organic Field-Effect Transistor,OFET)型メモリーの活性層(有機半導体層)を対象とし、赤外・ラマンスペクトルを用いて評価することで、その構造変化の有無を明らかにし、素子の電気特性と相関づけることを目的とした。顕微ラマン分光法を用いた評価では透明基板とポリマー絶縁層を用い、素子の構造をトップコンタクト型とすることで、Source/Drain電極と活性層界面を測定することができ、構造変化を示唆する結果が得られた。また、赤外分光法を用いた測定では、一般的なOFET構造に用いられるSi/SiO2を基板と絶縁層に用いた素子では、ドレイン電流を流した時間に伴い、半導体層の構造変化に由来すると考えられる結果が得られた。これらの結果により、赤外・ラマン分光法を用いるとOFETならびにOFET型メモリーの活性層に生じた構造変化に関する知見を得られることがわかった。そこで、これらの実験を引き続き実施することで、これらの解析結果と素子の電気特性(ドレイン電流の増加や保持特性、劣化)の相関を明らかにし、投稿論文へと仕上げたい。また、本研究のOFET型メモリー作製に関連して、OFET型メモリーの絶縁層材料に着目した素子の開発も実施した。ここで強誘電性を有する高分子として知られているナイロン11を絶縁層に用いたOFETを作製したところ、メモリーとして動作することを見出した。その結果は応用物理学会と投稿論文にて発表することができた。
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