研究概要 |
本研究はマルチパス測定型水中音響多重通信の実用化に向けた基礎的検討を行うことを目的としている.具体的には,実験水槽における通信実験,ならびにドップラーシフトに弱いというマルチパス測定型水中音響多重通信の問題点を克服するために,ドップラーシフト補償方式を適用し,その効果を検証することを目的としている. 今年度はマルチパス測定型水中音響多重通信のドップラーシフト補償方式を提案し,その効果をシミュレーションベースで検討した.具体的には,ドップラーシフトが小さな環境において正しくデータ伝送が行うために,直交周波数分割多重方式で提案されているドップラーシフト補償方式をマルチパス測定型水中音響多重通信に適用した.次により大きなドップラーシフトに対応するために先のドップラーシフト補償方式を拡張した.その結果,実用上想定されるドップラーシフト環境で正しくデータ伝送が行えることが確認された.しかし,マルチパス環境ではフレーム同期が正しく行えないという問題が新たに明らかになった.そこで,この問題を解決するためにマルチパス測定型水中音響多重通信で用いるパイロットシグナルを指標としたフレーム同期法を提案し,先のドップラーシフト補償方式と組み合わせることで,ドップラーシフトに弱いというマルチパス測定型水中音響多重通信の問題点が解決できる見込みを得た.来年度は本年度の成果を実験において確認することを予定している.
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