研究課題
本研究では、処分場覆土内部における水・熱・溶質・ガスの同時挙動を解明し、覆土層の物理・化学環境を考慮した物質・熱輸送係数予測モデルを構築することを目的とする。平成22年度は、埼玉県内から採取した廃棄物処分場最終覆土および砂試料を用いて,覆土層内部の水・熱・溶質・ガス挙動を再現するための室内カラム実験を行なった。最終覆土を用いた実験では、覆土内における多成分ガス移動特性に注目し、ガス種の違いがガス移動特性に及ぼす影響について調べた。具体的には、廃棄物処分場の最終覆土と3種類のガス(空気(酸素)、メタン、二酸化炭素)を用いて一次元カラム実験および通気・拡散係数測定実験を行い、ガス移動パラメータ(分散係数・透気係数・拡散係数)を測定した。結果、メタンガスは他のガス種に比べ低分子量・低粘性係数に起因して、高い透気特性およびガス拡散特性を有していることが分かった。またメタンガスは、高いガス移動特性に起因して微細な間隙ネットワークに容易に侵入し、高いガス分散特性を有していることが明らかになった。砂を用いた室内ガス移動実験では、土壌の浸潤・脱水過程で生じる土壌水のヒステリシス現象が、ガス移動特性に影響を与え、脱水過程で覆土内のガス移動は吸水過程よりも促進されることが分かった。また、同じ砂を用いた熱移動実験から、砂の粒径サイズに加え、粒形の違いによる粒子間の接触数の違いが熱伝導性に影響を与えることが明らかになった。上記、平成22年度に実施した最終覆土と砂を用いたガス・熱移動実験から、覆土層内部のガス・熱挙動をより正確に把握するためには、覆土層の水分条件や締固め度に加え、覆土材料(粒径・粒形)の違いや、生成されるガス種、土の吸水・脱水履歴についても十分考慮する必要があることが明らかになった。
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ASCE, J. Geotech. Geoenviron. Eng.
Soil Sci. Soc. Am. J
巻: 75
J. Hazardous, Toxic and Radioactive Waste, ASCE