研究概要 |
熱エネルギー変換器の効率の向上,環境負荷の低減のため,超希薄予混合気の燃焼が提案されている.また,既燃ガス等を利用して混合気を高度に希釈化するとともに過給を併用する高効率燃焼技術も提案されている.混合気の希薄化や大量希釈は,点火を不安定化するため,燃焼変動が混合気の希薄化,希釈化を制限しているのが現状である.超希薄予混合燃焼および大量希釈燃焼技術の実現に向けて,革新的な点火システムの開発が求められている.また,近年では燃料の多様化が進んでおり,点火システムにおいては,着火特性の大きく異なるバイオマス燃料やガス燃料など様々な燃料に対応できることも求められる. 本研究では,新しい点火システムとして低温プラズマによる着火促進に着目し,希薄燃焼,希釈燃焼および様々な燃料に対して,確実な着火が実現出来る着火制御技術の開発を目指している.具体的には,繰り返し極短パルス低温プラズマを利用した点火システムによる化学的な着火促進効果に関して,基礎的な検討を行い,低温プラズマにより生成される活性化学種を同定するとともに,低温プラズマ放電パターンが生成化学種に与える影響を明らかにし,特定化学種の選択的生成による着火制御の実現性を検証していく. 本年度は,放電と初期火炎核形成過程の計測システムを構築した.まず,光学計測が可能な定容容器を設計,製作した.また,放電電極を拡大撮影できる光学系を設計した.製作した容器,拡大光学系と高速度カメラ2台を用い,放電の直接撮影と火炎核のシュリーレシ撮影を同時に試みた.直接撮影用カメラはシュリーレン光路の妨げとならないよう,容器観察窓に対して約20°の角度で設置した.撮影速度はカメラとも100000fpsとした.撮影した直接写真およびシュリーレン画像を放電電流波形と比較し,放電形態と火炎核生成過程の関係を調べた.
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