研究概要 |
本研究は,建物部材に用いられる鋼材の繰返し載荷実験を実施してデーターを蓄積した上で動的履歴特性を検討し、更にその履歴特性を考慮した建物の応答解析により、歪速度が耐震性能に及ぼす影響を評価するものである。H22年度の研究成果は以下の2店である。 (1)ダンパー用鋼材について動的繰返し載荷実験を実施し、降伏点と載荷速度、歪振幅などに着目してデーターの蓄積を図る 履歴型ダンパーに用いられる鋼材としてSS400を対象とした動的繰返し載荷実験の計画と製作、実験準備を行った。試験体は板状のものであり、既往の研究を基に寸法や仕上げを検討し、制作を実施した。また試験体は繰返し載荷で面外変形を発生することのないように補剛治具に設置し、更に接合治具を介してアクチュエーター及び固定端に設置するが、その接合治具に関して新たに設計を行い、製作した。一方、実験パラメーターについて、載荷速度を3種類、歪振幅を4種類(一定振幅2種類・変化振幅2種類)の組み合わせで計12体の載荷を計画した。 と計測方法の検討を行った。 (2)既往の鋼材の動的載荷実験結果により、鋼材の履歴特性と歪速度に関するデーターベースを作成 動的繰返し載荷実験に先立ち、既往の実験研究から鋼材における歪速度の影響に関するデーターを抽出し、データーベースを作成した。データーベースの項目は実験形式、鋼種、歪速度、歪振幅、降伏点などである。データーは建築・土木関係だけでなく、機械工学等の他分野からも該当するものを収集しており、幅広い歪領域での傾向を検討する基本となり、2年目において動的載荷の影響をより正確に反映した履歴特性を提案するために重要なものである。また(1)に示した動的繰返し載荷実験の実施においても、データーベースと照会して順当な内容であることを確認した。
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