研究概要 |
マイクロ流路内の固液・気液界面近傍に形成されるイオンや流体挙動を明らかにすることを主たる目的として,固液界面極近傍ナノスケール速度計測法および気液二相流の非定常高速可視化技術を開発した.本年度は,気液二相流の高速可視化技術に関して重点的に取り組んでおり,マイクロ流路内の気泡生成過程に見られる非定常な気泡分裂現象を計測対象とした.昨年度までの研究にて,生成気泡径は流路のサイズや液相成分に関わらず,ウェーバー数(慣性力と表面張力の比から得られる無次元数)により整理されることが明らかとなっていることから,本年度は液相の速度分布および気泡生成過程の関係を明らかとすることを目的とした.両者の関係性を明らかにするためには,時系列の気泡生成過程および液相に混入した粒子の挙動を同時に撮像可能な計測システムを構築することが必要であり,従来の蛍光観察に加え明視野観察も可能なシステムを構築し,両観察方法に関して比較検討を行った.蛍光観察には,深さ方向分解能が高いという利点はあるものの,気相の撮像が困難であったり,蛍光像取得のために時間分解能が低下したりという問題が残された.それに対し明視野観察には,深さ方向分解能の低下という問題は残るものの,気相挙動および液相内の粒子挙動を同時に取得でき,高速度撮影も可能という大きな利点があるため,本研究では明視野観察を採用した.本手法を用いて,気泡生成過程における気相の特徴的な時間スケールの抽出および液相速度分布より気相分裂をもたらす力の因果関係に関して実験結果から解析したところ,気相および液相の合流部において,気液界面に対し垂直方向の液相流れが気泡の破断現象に影響していることが示唆された.
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