本年度は、ナノシリカ粒子をマスクとし、エッチングを行うMetal Assisted Etching with Silica nanoparticles(MACES)法より、シリコンナノワイヤ(SiNW)アレイの粒径制御を行った。その結果、従来の方法では、直径30~150nmのばらつきが存在したが、MACES法ではナノシリカ粒子の粒径(30nm)と同等の直径を有するSiNWアレイの作製に成功した。また、溶液のpHを変化させることで、負に帯電したナノシリカ粒子の濃度を制御し、正に帯電したシリコンウエハ上にクーロン力を用いて吸着させるという方法により、SiNW密度の制御にも成功した。 量子サイズ効果を発現させるにはさらなる直径の低減が必要であったため、酸化及びフッ酸蒸気エッチングを行った。その結果、この方法でSiNW粒径を低減することができることを確認した。また、SiNWアレイの品質を向上させるため、シリコンの表面パッシベーション膜として有効なAl_2O_3を原子層堆積法により、SiNW全体を覆うように製膜することに成功し、そのパッシベーション効果により、表面再結合速度の低減を確認した。また、SOI基板を利用して発電層がSiNWである初期的な太陽電池構造を作製し、開放電圧110mVを得ることができた。最後に、量子効果を考慮したデバイスシミュレーションを行い、SiNW直径とともにそのバンドギャップだけでなく、開放電圧も増加させることができることを確認した。
|