研究概要 |
本研究課題で開発を行うモジュラーロボットシステムでは,従来のように個々のモジュールにマイクロコンピュータを設けるのではなく,各モジュールとして特定のアクチュエータや演算素子のみを配置したものを複数種類製作し,これらが連結構造を形成した際には,ロボットの機械的構成自体がシステムの制御回路として機能するような仕組みを採用したシステムの開発を目的とする.こうした構造を用いることで従来のモジュラーロボットよりも高次に細分化・単純化が可能となるため,これまで問題となっていたモジュールの高コスト化や,要素部品のサイズがネックとなっていた小型化の限界を解決し,実用化に向けたブレークスルー技術となりうる.H23年度の研究では主に,各モジュールに搭載すべきセンサの種類と,モジュール同士が結合したときに生じるモジュール群のセンサ出力分布をモジュラーロボット全体としての動作に結び付ける手法について検討を行った.研究代表者が従来からの研究において,各モジュールにひずみセンサを搭載してモジュール群の応力分布情報を取得し,各モジュールの行動ルールを周囲のモジュールとの応力差に応じて変化させる手法が有効であることを示した.一方,現在研究代表者が所属している研究室が有する技術として,光電式フォトセンサや感圧センサなどの素子をマトリクス状の抵抗ネットワーク内に接続することで,多数のセンサからなる情報をアナログ回路上で統合する高速処理手法がある.この技術はモジュラーロボットに対しても有効であり,モジュール群が結合した際に構造を成すとともにセンサ情報をアナログ処理する回路を形成するような設計によって,各モジュールのシンプルさを保ちつつ,モジュラーロボット全体としては外部環境に対する高速な応答が可能なシステムが構築できることを提案した.
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