研究課題
本研究の目的は、高性能な「Sinc数値計算法」を実用化するための課題、(I)チューニングパラメータの設定法、(II)収束保証と性能評価、を理論解析により解決することであり、平成22年度は研究が進み以下の成果を得た。1.微分方程式の初期値問題に対するSinc数値計算法に対して理論解析を行い、課題(I)と課題(II)を解決した。2.Volterra微分・積分方程式に対するSinc数値計算法に対して理論解析を行い、課題(I)を解決している。まだ対外発表は行っていないが、平成23年度で行う予定の課題(II)の解決を行った際に同時に発表を行う予定である。課題(I)の解決なしには、ユーザは何の指針もなく試行錯誤してパラメータを定めねばならず、また課題(II)の解決なしには、動作保証がなされないため、安心して使うことができない。これらの実用化に対する難点を解決したことは重要である。また、隣接するテーマとして、以下の成果も得た。3.前提条件が異なるもとで使われていたSinc数値計算公式(tanh則とDE公式)を、同じ前提条件のもとで理論性能評価を行った。これは積分が含まれる方程式に対する収束性解析の基盤となる研究である。4.3.で述べたtanh則・DE公式に対して精密な理論誤差評価を行い、精度保証つき数値計算の基盤を作った。5.Fredholm積分方程式に対するSinc数値計算法に対して、4.で述べた研究に基づき精密な理論誤差評価を行った。これらの研究はSinc数値計算法の分野で精度保証つき数値計算を行うための萌芽的研究であり、さらに実用化を推し進めることのできる重要な成果である。
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BIT Numerical Mathematics
巻: in press
日本応用数理学会論文誌
巻: Vol.20 ページ: 71-113
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007658199/ja/
Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: Vol.1 ページ: 119-132