研究課題
2010から2011年度にわたる研究は、二つのカテゴリーに分けることができる。一つはシベリア永久凍土に対するマイクロ波リモートセンシングデータのマルチモード的な応用、もう一つは新潟地方における冬季積雪域に対する同データの応用である。マルチモードとはマイクロ波の全偏波データを適宜テンポラルに用いる手法である。先ず、東シベリアにおける永久凍土の環境の氷結と氷解時のデータを抽出する効果的な方法に関する研究を行った。従来の研究は電波散乱計に基づいていたので、氷結と氷解時の検出分解能は25-50kmのスケールであった。本研究では、ENVISATグローバルモードのScanSAR時系列を使って、シベリア生態系の氷結氷解時の画像に対し、(これまでで最も高精度となる)1kmの分解能を提示した。次に、積雪観測への応用として、レーダポラリメトリ技術を使い、Lバンドのリモートセンシングの全ての可能性を追求する技術を開発した。従来の多くの研究は光学的なリモートセンシング、あるいはCバンドかもっと高い周波数帯でのレーダレモートセンシングによるものであった。日本における降雪は季節的な変動と同様に広域でかつ時間的に変化する。従って、積雪観測における時間的かつ空間的なギャップの低減が特に重要となる。このような視点で日本での季節的な降雪積雪をモニターするため、衛星搭載SARのLバンド全偏波データの有用性を検証している。日本のALOS/PALSARのようなLバンド全偏波SARは、季節的な積雪に対して十分な情報を提供していることを本研究で報告した。さらに、積雪画像に対する新しい情報融合法をファージ理論と偏波によるターゲット分解技術を用いて、独自の技術を開発した。
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