日本のまちづくりNPOの分野において、先駆的に市民・企業・行政のパートナーシップという概念を取り入れて実践的なまちづくり活動を展開してきた全国各地のグラウンドワーク(以下、GWと言う)活動団体(約20団体)と、それらの全国的な普及啓発を推進する日本GW協会の取り組みをとおして、日本のGWの全体像を概観するとともに組織的な観点からみた発展の方向性について考察した。また、GWのオリジナルである英国GWの発展経緯と近年の発展動向について整理・分析した。 GWのオリジナルである英国GWとの比較からは、日本のGW活動団体の特徴として、(1)自発的組織による連絡型の全体組織構造、(2)大都市地域に少ない設立地域、(3)環境再生指向の設立背景、(4)市民主導による草の根型組織、(5)限定型の活動組織の存在、(6)外縁的・部分的な各セクターの関与、(7)多様な組織による連携交流ネットワークがあげられた。これらの特徴をもとに、今後の日本のGWの方向性として、GW活動団体の(1)パートナーシップによる運営体制の構築、(2)組織仕様の標準化、(3)フランチャイズ的手法によるネットワーク運営が導きだされた。 本研究は、GW活動団体のもつ設立背景や発展経緯を概観して、今後の日本のGWの組織的なあり方について考察したものである。まちづくり組織の分析の視点としては、組織の財政構造、事業内容、人的資源など組織の総合的な運営手法からの分析が必須である。したがって、それらの観点からみた日本のGWの分析と今後のあり方についての考察が、次年度の検討課題である。
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