研究概要 |
石垣市沿岸域を撮影した4枚のWorldView-2衛星画像を用いて,以下の成果を得た 1.近赤外バンドの複数化による大気・水面散乱成分の除去精度向上の検証 各画像から,水深が十分大きい領域の画素集合を抽出し,各可視バンドの放射輝度を近赤外バンドの放射輝度で説明する線形回帰式(1)を構築した.説明変数である近赤外バンドとして,従来型のQuickBird衛星画像にも存在した1バンドを用いる場合と,新たに追加された1バンドを加えた全2バンドを用いる場合について,近赤外バンドの予測誤差を評価した.その結果,いずれの画像についても,2バンドを用いた場合の予測誤差が有意に小さく,近赤外バンドの増加が大気・水面散乱成分の除去を高精度化することが立証された. 2.一般性をもつ水深推定式構築可能性の検証 各衛星画像と,対応する水深実測データを用いて,水深と各可視バンドの対数補正放射輝度を変量とする画像別のデータセットを作成した.個々のデータセットと,それらを結合したデータセットについて,Lyzengaの方法に従って水深推定式(各可視バンドの対数補正放射輝度の線形関数)の係数の組を推定した.その結果,結合データセットは,底質・水質分布の画像間不均一性にも関わらず,自由度調整済み決定係数が最大で,残差平方平均も他のデータセットと大差がなかった.よって,結合データセットから,多様な底質・水質に適用可能な,一定の一般性をもつ係数の組が得られたと考えられる. 3.バンド数倍増による水深推定精度向上の検証 各データセットについて,QuickBird衛星画像相当の4バンドを用いた場合と,WorldView-2衛星の8バンドを用いた場合について,水深推定式を構築した。その結果,全データセットについて,後者の場合に自由度調整済み決定係数が大きく,水深推定精度が高いことが明らかになった.
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