研究概要 |
H22年度は,MU-MIMO技術を用いたアクセス制御の特性評価を行うために計算機シミュレーションツールの作成を行った.また作成したツールを用いて考案したアクセス制御方式と従来方式の比較による評価を遂行した. 計算機シミュレーションツールを作成するに当たって,評価に用いるネットワーク構成は,無線基地局を中心に無線端末をランダムに分布したモデルとした.本モデルは屋内(宅内)を想定したものであり,次世代無線LANの標準規格が策定されているIEEE802.11acにおいて,提案されているシミュレーションモデルをベースにしているため標準化での寄与にも貢献が可能である.シミュレーションツール作成では,無線通信の考案した新しい方式を独自にプログラミングし,多岐にわたるアプリケーション(音声,動画配信,Http,ファイル共有など)は,シミュレーションソフトに既存で含まれているサンプルモデルを流用することを想定して設計を行った.そこで新たに考案する無線通信方式のMACレイヤと,アプリケーションを含むIPレイヤ以上のインターフェースを結合するように拡張機能をシミュレーションツール追加作成した.本拡張機能によって,今後,新たに無線通信方式を考案した場合にも,シミュレーションツールを大幅に改編することなく簡易に評価を行うことが可能となる。当該シミュレーションツールを用いて,今後は,レガシー端末と考案方式の競合環境における詳細なシミュレーション評価を行い,評価結果を論文等で発表する予定である.またH23年度着手予定のOBSS環境におけるMU-MIMOを利用したアクセス制御方式の検討を進めるに当たり,H22年度はアプリケーション毎の通信品質を考慮した新しい考案方式の検討を行い,考案方式の継続した評価も現在,遂行中である.
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