研究概要 |
近年,構造物の品質に対しアセスメントを求められることは社会的趨勢となっており,それと同時に要求性能を満足することが必須の性能照査型設計法に移行している。また,盛土構造物においても同様に,性能設計導入について議論され続けている。盛土構造物のほとんどは締固め土で構成されており,港湾施設,高速道路,河川堤防といった主要構造物において幅広く利用され,その重要性も認められてきた。その一方で締固め土に対する力学的説明は十分とは言い難く,締固め土を使用する際に求められる強度を得るための施工方法などは示されているものの,実際に使用する材料特性に対して考慮されていない。さらにはその強度発現のメカニズムに関しても完全に解明されていない。 そこで,土/水/空気連成有限要素解析プログラム(DACSAR-MPと称する)の開発を行い,締固めによる不飽和土の力学挙動を三相連成問題として解くことで,締固めの強度発現機構について考察を行った。また,解析時の条件として,締固めにおける載荷速度の違いによる影響を調べることで,締固めに対する機構や最適な載荷速度,さらには締固めを盛土の要素として捉え,供用開始後の降雨浸透による強度変化を知ることで,今後の管理手法に対する提案を数値解析から検討した。 具体的には,締固め速度を変えシミュレーションを行った。その結果,載荷速度が速くなると間隙空気の封入量が増加し,外部応力に対する分応力として間隙空気圧が働くことで変形が妨げられ体積圧縮量が減少した。以上から,静的締固めシミュレーションで載荷速度の違いによって締固めに影響を与える結果を得た。また,締固めシミュレーションから得られた結果を初期値とし,築堤シミュレーションを実施した。最終的に,施工完了後の経時変化に対する盛土の強度,変形を定量的にまとめた。
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