研究概要 |
本研究では,機械構造物の長期信頼性確保を目的とし,表面硬質皮膜の導入による金属材料の疲労特性改善およびその疲労寿命予測法の確立を目指している。平成22年度においては,1.表面改質層の創製手法の提案およびその特性評価,2.被処理材の基本的疲労特性評価を行った.以下に,得られた研究成果を示す 1. 表面改質層の創製およびその特性評価 高疲労強度部材の作製を目的とし,表面改質層の創製手法の開発およびその特性評価を行った.具体的には,アルマイト処理,窒化処理,不活性ガス雰囲気下における高温加熱処理を施すことにより,金属材料の表面に高硬度な硬質皮膜および元素拡散層を形成させることに成功した.また,表面処理工程前に導入するピーニングについても注目し,微細な投射粒子を用いることにより,得られる表面改質効果が顕著となることを明らかとした 2. 基材の基本的疲労特性の解明 上記の硬質皮膜被覆材について,回転曲げ疲労試験を実施した.なお,時間的制約から,平成22年度には主に応力繰返し数10の7乗回までの回転曲げ疲労試験データを取得した.その結果,表面改質層の導入により,疲労強度が改善されることを明らかとした.また,疲労試験後にはSEM(走査型電子顕微鏡)を用いた破面観察を行い,フラクトグラフィの観点から疲労特性改善要因について検討を加えた.なお,一部の試験片に対しては,超高サイクル疲労特性データ(応力繰返し数10の9乗回)の取得を見据え,平成23年度にわたり疲労試験を継続中である
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