研究課題
建物の建設段階において多量のCO2が排出されることは広く知られていることであるが、本研究ではこの問題の解決のため、従来その適用が小規模建物に限られていた木質材料を、中大規模建物の構造部材に適用することを検討することとした。本研究の重要な観点は、次の2点である。(1)中大規模建物の構造部材(柱・梁等)を木質材料に置き換える可能性について。(2)中大規模建物に木質材料の適用を拡大した場合の国産木材供給の可能性についてまず(1)については、9階建てのS造事務所ビルとRC造集合住宅に対し、大断面集成材による木質材料を柱梁に使用した場合について検討を行った。結果としてはいずれも常識的な断面形状で、設計は可能であることは明らかとなったが、柱梁だけを木質構造化しても、それに伴うCO2排出量の削減効果はそれほど大きくは無いこと。逆に構造数量としては床・壁を木質構造化した方が、はるかにCO2削減効果が大きいことが分かった。従って、今年度柱梁は鉄骨増とし、床壁のみを木質化した場合の利点、問題点を明らかにする。(2)については、高知県檮原町の製材施設を事例として、大都市圏へのバイオマスエネルギー供給の可能性を検討した。檮原のバイオマス工場は生産量をしては大型ビルを養うに充分な潜在力は保有するが、安定供給等に課題のあることが分かった。今年も同様な視点から、事例研究を進める予定である。
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コンクリート工学
巻: VOL.49,No.1 ページ: 16-20