研究課題
核融合プラズマにおいて、高速イオンはアルヴェン固有モード(AE)や乱流などと相互作用して異常輸送あるいは第一壁へ損失する可能性がある。本研究ではこの相互作用の様相を実験的に調べることを目的とする。このため、高速イオンの速度分布および密度の空間分布を同時に測定できる高速イオン荷電交換分光法(FICXS)を用いて、これを高速化して揺動計測に対応させるとともに、ピッチ角と速度の情報が混合する荷電交換光の解析法の確立を図る。平成22年度では第一に、AEと特に相互作用しやすい周回粒子に対応するため、トロイダル形状のプラズマを接線方向から観測する視野を整備するとともに、観測した荷電交換光をシミュレーションで再現し計算コードの検証を行った。計算コードでは計測ビーム分布や偏光等の実際の諸効果を取り込む改良を行い、100keV以下の周回粒子の速度分布および密度分布が再現できた。計算と実験の比較では光子の絶対量の評価が課題であるが、観測波長域と速度空間の対応がほぼ解明されたと考えられる。平成23年度において、バルクプラズマ揺動と、各波長域の荷電交換光の揺動との相関を解析する方法を開発することで、実際の高速イオンと各種モードとの相互作用の様相が観察できると思われる。第二に、揺動計測のための高速検出器系(光電子増倍管(PMT)による)を整備し、予備実験を行った。本実験では垂直視野および接線視野において、熱速度~100keV程度の領域に相当する波長をスキャンし、周回粒子からの有意な荷電交換光の検出に成功した。検出した荷電交換光とバルクプラズマ揺動との相関は未だ不鮮明であるが、前述のデータ解析法の開発、および、不十分であった空間および波長方向のスキャンを詳細に行うことで有意な情報が抽出できると期待される。
すべて 2010
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REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS
巻: VOL.81 ページ: 10D327(1-4)