研究課題
平成23年度では主に、(1)古典的な高速イオン挙動が支配的な場合のFICXS計測による観測スペクトルの解析と、(2)電子増倍管(PMT)による特定の波長域の成分を高速サンプリングした観測の解析を行い、高速イオンと相互作用する揺動(アルヴェン固有モード(AE)など)との相関を調べた。(1)数値計算により、各種揺動の効果を含まない古典的な高速イオン速度分布を用いて荷電交換光を評価し、FICXS計測による実験的な観測と比較することは、揺動の高速イオン輸送への影響を調べる上で必須である。本年度は平成22年度に開発した計算コードを荷電交換光の絶対量(光子数)を評価できるよう改良し、異なる磁場配位のプラズマについて解析した。この結果、絶対量に差が生じるケースも見られたが、FICXS計測を用いた実験ではバルク密度・温度等のパラメータスキャンが十分ではないため、今後これらを充実させ、高速イオン輸送の評価を行っていく必要があると考えられる。(2)PMTによる荷電交換光の観測の確認のため、まず、荷電交換反応率が比較的高いエネルギー帯(35~65keV)に対応する波長帯(662~664nm)を選び観測を行った。これにより、中性粒子ビーム入射(NBI)加熱およびバルク密度の上昇とともに増加する荷電交換光の観測に成功した。このとき、AEなどの高速イオンと相互作用する揺動が励起されているにも関わらず、その相関は不鮮明であった。この理由として、AEはNBI入射エネルギー(180keV)程度の高速イオンと相互作用しやく、そのようなエネルギー領域の高速イオンに対しては、用いた計測ビーム(40keV)による荷電交換半能率が低く、S/N比が十分でないことが考えられる。一方で、数十keVのエネルギー帯においては、AEなどの特定の周波数をもつコヒーレントなモードではなく、周波数が広範に分布する乱流の影響が支配的になる可能性を考慮し、パラメータスキャンにより輸送を評価する必要があると考えられる。
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Proceeding of JSPS-CAS Core University Program Seminar on Production and Control of High Performance Plasmas with Advanced Plasma Heating and Diagnostic Systems (Research report NIFS-PROC series)
巻: 84 ページ: 284-293
Annual report of National Institute for Fusion Science
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