研究概要 |
脊椎動物におけるアドレノメデュリン(AM)ファミリーの機能進化を探る目的で、特にヒトでは欠損しているAM5に着目してその機能を多角的に解析している。まず、AMがファミリーをつくることが初めて発見され、これまでのデータが蓄積された硬骨魚真骨類を用いて機能解析を行った。発生段階における解析手法が豊富な小型魚類であるゼブラフィッシュにおいて,各AM遺伝子をノックダウンしたところ、AM5遺伝子のノックダウンによって血球系をはじめとする様々な部位に分化の異常が観察された。現在、より詳細に解析を行っている。また、環境適応と浸透圧調節にも着目し、広塩性の小型魚類であるメダカを用いてさまざまな塩濃度への移行実験を行った。まず体液と同じ塩濃度に調節した等張水(llppt海水)にメダカを二週間馴致させ、低張である淡水、および高張である海水へと移行させた際のAMファミリー各遺伝子の発現変化を、浸透圧調節にかかわる頭部、えら、腎臓や肝臓などの組織で調べた。その結果、頭部では調べたAM遺伝子すべてに有意な変化がみられ、淡水での発現が海水よりも増加していた。このことから、メダカにおいてAMファミリーは低浸透圧への適応に関与することが示唆される。AMファミリーのタンパク質レベルでの局在、および浸透圧調節にかかわるNa+/K+-ATPase等の輸送体との関連について、現在解析を進めている。
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