研究課題
前年度には、アドレノメデュリン(AM)ファミリーの全ての遺伝子(AM1~5)がメダカにおいて浸透圧調節に関わることを明らかにした。平成23年度には、魚類において初めて発見され、哺乳類でも存在することが明らかとなった新型AMであるAM5の新機能を探った。ゼブラフィッシュの初期発生胚において、AM5遺伝子のノックダウンは赤血球の形態異常を引き起こすことから、成魚においてAM5遺伝子と赤血球産生との関連を調べた。フェニルヒドラジン(PHZ)の曝露によって赤血球を特異的に破壊したところ、曝露後1日で血球量が有意に減少し、造血器官である頭腎でのAM5遺伝子の発現は有意に増加した。AM5遺伝子の発現動態を、赤血球産生を促すエリスロポエチン遺伝子と比較したところ、PHZ曝露では同様の挙動を示したが、低酸素条件ではエリスロポエチンとは異なり変動しなかった。そのため、AM5はエリスロポエチンとは異なる作用機序で赤血球産生に関わることが示唆された。また、進化的に魚類と哺乳類との間に位置する、両生類・爬虫類・鳥類においてAM遺伝子を同定しようと試みた。それぞれの系統群より、ゲノムデータベースが整備されたネッタイツメガエル、グリーンアノール、ニワトリを選び、BLASTによってAMの候補遺伝子を検索した。その結果、両生類で3種類、爬虫類・鳥類でそれぞれ1種類のAM遺伝子が見つかったため、cDNAクローニングによって塩基配列を確定し、染色体上でのシンテニー解析によって同定作業を行っている。
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PLoS ONE
巻: 7 ページ: e34579
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GENE
巻: (印刷中)(発行中)
Physiology & Behavior
巻: 104 ページ: 923-928
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