研究概要 |
Rhopalodia科珪藻は細胞内にSpheroid bodyと呼ばれる窒素固定に特化した構造を持つ。 Spheroid bodyは細胞内共生シアノバクテリアに由来するが、すでに「窒素固定オルガネラ」として珪藻細胞に統合されていると考えられており、細胞内共生を通じたオルガネラ獲得の進化機構を詳細に知る上で格好のモデルとなり得る。本研究では、Spheroid bodyおよび宿主珪藻の系統的多様性を解明するとともに、Spheroid bodyの全ゲノム配列解読を行うことにより、Spheroid bodyの成立過程およびオルガネラ化における進化段階を明らかにする事を目標としている。 本年度はSpheroid bodyのゲノムシークエンスを行うため、Rhopalodia科珪藻の一種Epithemia turgidaを大量培養し、細胞内からのSpheroid bodyの単離およびDNA抽出を行った。さらに抽出したDNAをMultiple Displacement Amplification法を用いて増幅し、次世代DNAシーケンサーによって解析した。シークエンスの結果195,231リード(総塩基数61Mbp)の塩基配列を得た。今後得られたリードをアセンブルし、順次アノテーション作業を行う予定である。 また、Spheroid bodyの多様性を明らかにするため、様々な環境からサンプリングを行い、Rhopalodia科珪藻の探索を行った。その結果Phopalodia属1種、Epithemia属4種を発見・単離し、その内Rhopalodia gibbaの培養株を複数確立することに成功した。
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