本研究は難分解性有機系廃棄物の光触媒処理による高効率バイオガス生産システムの構築を目的にする。 本年度は光触媒分解装置の開発を目的に、本システムに提案した光触媒分解装置として、発酵前段階の原料分解装置と発酵終了段階の廃液分解装置の試作を行った。その固定床型処理槽とハイブリット型処理槽を用いて、下水処理場の活性汚泥廃水を原料とする処理実験を行い、原料濃度、光照射時間、光強度などを変数として可溶化率の最適化を行った。また可視光条件など自然界における幅広い光源にも適用できる光触媒材料の検討を行った。 生物系廃棄物の水素・メタン発酵では、ガス転換速度の向上が重要な課題である。よって、システム全体の目標を達成するために、下水汚泥由来のコンポストから集積したミクロフローラを用いて、前記の廃水原料とする55℃連続培養を行い、pH及び水理学滞留時間(HRT)を変数として可溶化率と水素生成収率の最適化試験を行った。 それらの研究結果として、原著論文2編と学会発表6回、うち招待講演1回を成果として収めた。 来年度は、平成22年度に確立された各々の技術をもとに、検証実験を行う。1、水素・メタン二段発酵の検証実験。運転が開始される実験システムは、実規模の100分の1スケールでの試験運転により、水素・メタン二段発酵システムの有効性の検証を行う。2、トータルシステムにおける研究開発。バイオエネルギー生産システム全体のシミュレーションによる生産性試算等を行い、本研究開発システムのエネルギー効率、経済、環境への影響などの総合評価を行う。
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