消極送水地下灌概に利用する送水機材と送水末端を開発・試験した。植物にはバジルやダイズを利用した。水を貯留する容器として、ペットボトルを利用した。ペットボトルに柔軟なプラスチック管をつなぎ、末端をマイクロチップ用チップとした。チップの先端を切ることで、径を拡大し、そこにセルロースの紙(キムワイプ)あるいはポリエステル糸を束ねたものを入れ、土壌に1cm分の長さが接するようにした。結果、キムワイプは1ヶ月程度の利用で、微生物による分解が顕著であり、安定して送水末端としての機能を掌ることは困難であると考えられた。他方のポリエステル素材は微生物による分解が困難であり、土壌中でもその機能を安定的かつ継続的に発揮することがわかった。キムワイプやポリエステルの送水末端が土壌表面から5~6cm深となる場合、ダイズについては対照としての表面散水に対して顕著な節水効果は見られなかった。送水末端深度が浅く、土壌表面からの水分蒸発が大きかったことがありえたが、むしろ、旺盛に生育する植物による蒸発散によって、対照区との差が見られなかったと考えられる。 他方、根による消極送水の試験では、ダイズのほか、コマツナ、レタス、チンゲンサイの残存根を持つ土壌カラムを水で飽和させ、セ氏50度にて水分蒸発パターンを植物を植えなかった対照と比較した。結果、残存根による土壌水分保持機能増大は確認されなかった。土壌中での根のバイオマスが不十分であった可能性もあり、追試験を予定している。
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