研究課題
研究代表者は、砂漠化の最前線として知られる西アフリカ・サヘル地域において、「耕地内休閑システム」(幅5mの休閑帯を風食を引き起こす嵐の風向に対して垂直をなすように一定の間隔で配置し、その休閑帯を毎年風上に移す技術)という砂漠化の抑制と作物生産の向上を同時に可能にする新たな省力的砂漠化技術を開発し、その有効性を実証した。本研究では、土壌中の養水分動態の観点(砂漠化抑制の観点)から「耕地内休閑システム」の最適化、つまり休閑帯同士の最適な間隔の決定を目的として圃場試験を実施した。具体的には、ニジェール共和国の国際半乾燥熱帯作物研究所西・中央アフリカ支所で9機のライシメータ(直径2m、高さ2.3m)を用いて、クラストの上に存在するルーズな砂層の厚さと土壌中の養水分動態の関係を調べた。その際、サヘル地域では降水量が2030年まで増加し、2030年からは急激に減少すると予測されているため、雨量で3処理区(少雨区、通常区、多雨区)を設けた。試験結果より、休閑帯が持つ風成塵捕捉能を通して、クラストの上にルーズな砂層を3cm形成できる休閑帯の間隔(29~30m)が気候変動下では最適であることが示された。これは、これまでの研究で収量のみの観点から決定されていた最適な間隔(30~35m)と非常に近い値であった。よって、「耕地内休閑システム」において最も効果的に砂漠化を抑制し、かつ収量を増加させる休閑帯同士の間隔は30mであると考えられる。なお、当初の予定通りに購入することが出来なかった重窒素標識牛糞については、2011年に自ら作成した。現在はその重窒素標識牛糞を用いて試験を実施中であり、本研究は近日中に完成予定である。
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