研究概要 |
当研究の目的はインドにおける有機食品の消費者の消費行動と彼らの社会的背景との関連性を明らかにすることである。マッキンゼーのインド社会調査は、インド国民は2025年までに現在の2倍に相当する平均61,000Rsを食費に使うと予測している。インドの経済成長に伴う所得増により、国民の食に対する関心は、量より食の品質や安全性といった質へと移行していくであろうことを、この数値は示している。また、それに伴い無農薬農産物の国内需要もより高くなってくるだろう。調査の第一段階としてインド工科大学のデータベースを利用し、現在インド国内外の食に関しての考えや、有機農産物に関連したインド独自の現状を精査した。次に、インド経済が現在インフレでその影響が食品関係に大きく関連している事実をふまえ、龍谷大学の河村先生と国際基督教大学の山口先生から消費者向けの調査に対するアドバイスを拝聴しながら、インドの実地調査に向けた最終アンケート用紙を作成した。当研究は消費者の社会的身分、学歴、家族構成、収入が有機農産物購入の意思決定においてどのように影響しているか、または影響を及ぼしていないかを明らかにするものであるので、その趣旨に沿ったアンケートになるよう注意した。またインドの場合は消費者が郵送のアンケートに答えない傾向もあり、インドに赴き4週間かけて有機農産物のマーケットを利用している消費者と直接対面しアンケート用紙に沿って聞き取り調査を行った。その結果食の安全性の意識は学歴、値段、有機農産物市場の利用回数に深く関連していることがわかった。さらに、現地で有名なスーパーマーケットを訪問し、マネージャーたちからインドの消費者動向についてインタビューをし、市場の有機農産物の流通形態を調べた。シンガポールでJETROと現地の日本のシンクタンクを訪問し、現地の消費者と有機農産物が社会においてどうとらえられているかについて聞き取り調査を行った。
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