研究課題
2011年度は、インドにはほとんどない有機農産物市場の中から、総合農村開発所(Integrated Rural Development:IIRD)による有機農産物定期市を例として取上げ、人口動態変数と人々の有機農産物購入における意思決定がどのように関係しているのかを明らかにすることを目的とする。昨年度実施したアンケート調査結果を分析し、以下のことが明らかとなった。(1)教育水準の高い消費者ほど有機農産物定期市に行かない傾向があることがわかった。教養のある消費者は、有機農産物や制度について十分な知識があるため、インド有機認証に基づいて有機農産物を販売しないIIRDによる認証農家を、容易に信頼していないのではないかと考えられる。(2)ほとんどの消費者が有機農産物定期市の農産物価格が高価であると認識しているにもかかわらず、定期市に足を運んでいるということである。主な理由はスーパーマーケットでは慣行農法による農産物よりも有機農産物は値段が2倍するのに対し、有機農産物定期市では10%高いだけであることが考えられる。(3)有機農産物定期市への訪問回数が多い消費者ほど、再訪問する傾向があることが明らかとなった。このような消費者は、有機農産物や健康に多大な関心をもっていると考えられる。回答者の中には、何度か有機農産物を食べなければ慣行農産物との違いはわからないと述べる人もいた。(4)所得が高い消費者ほど有機農産物を購入する傾向があることがわかった。有機農産物定期市に来ることを止めたという回答者の中に、2年前の経済危機によって所得が減少したために、継続的に来ることができなくなったと述べる人がいた。有機農産物定期市に通うことを止めた人の大部分は民間企業の従業員か自分の事業が破綻した人であった。このような人の所得は、国内の市場状況に大きく影響することは言うまでもない。有機農産物の消費者のほとんどは、教育業界に従事する人か専業主婦である。教育業界の人は学術に関する媒体を通して公的な情報を得ることができると考えられ、専業主婦は食品の安全性や家族の健康に高い関心があるものと考えられる。
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Journal of Food, Agriculture & Environment
巻: Vol.10(2) ページ: 132-136