研究概要 |
1.本研究はp95HER2を対象とした新規検査法の確立を行い,HER2陽性乳癌を用いた前向きコホート研究により検査妥当性を評価し,治療抵抗性予測の可否についての検討を目的としている.本年度は(1)高感度マルチプレックスIHC法を用いた新規p95HER2測定法の確立および(2)HER2陽性乳癌を用いた前向きコホート研究による本測定法の検査妥当性(治療抵抗性の予測の可否)の検討を計画していた。 2.上記(1)について、p95 HER2を認識する抗体の開発が困難と考えていたため、細胞外ドメインを認識するHER2抗体(ECD抗体)と細胞内ドメインを認識するHER2抗体(ICD抗体)の2つを用いたマルチプレックスIHC法による測定法確立を当初計画していたが、2010年8月Sperindeらにより抗p95HER2モノクローナル抗体が開発・報告(Clin Cancer Res)されたため、複雑なマルチプレックスIHC法を用いた測定法では実用化は難しいと考えた。そこで計画を変更し病理検体での使用が可能なp95HER2タンパクに対するマウスモノクローナル抗体の作製を試みることとした。現在抗体作製を進めており、また本抗体のバリデーション準備(p185HER2およびp95 HER2 transfectantの作製等)も併せて進めている。一方ECD抗体とICD抗体の2つを用いたIHC法以外の測定法の確立も開始した.本方法はReal-time PCR法の原理をもとにした抗体によるタンパク定量解析システムであり,これにより同一サンプルからp185とp95 HER2の定量的データを同時に得ることが可能となる.現在このシステムに用いるビオチン化抗体の作製を進めている 3.この計画変更に伴い上記(2)の再スケジュール化を行った。
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