BOSHI研究は平成23年10月末までで1576人の妊婦をリクルートし、新規リクルートメントを終了した。1576人中、婦人科疾患有病・既往者は495人あり、うち子宮筋腫の有病者・既往者は82人であった。 2006年10月16日から2010年3月31日までの間に妊娠20週以前に研究に同意した妊婦737名のうち、基礎特性・血圧データ欠損者や高血圧既往のある妊婦を除外した530名の血圧正常妊婦を解析対象とし、出産歴と血圧との関連を検討した。対象者530名のうち、初産婦は315名、経産婦は215名であった。初産婦と経産婦では、年齢、飲酒歴、出産時週数に有意差が見られた。外来血圧の比較では、収縮期・拡張期血圧ともに妊娠中を通して初産婦の方が経産婦よりも有意に高値を示した(P=0.02/P<0.0001:収縮期/拡張期血圧)。一方、家庭血圧では妊娠中を通して初産婦・経産婦間に有意な差は認められなかった(P=0.4/P=0.2:収縮期/拡張期血圧)。 外来血圧では、経産婦に比べ初産婦で高値を示し、先行研究と一致し、家庭血圧推移は、初産婦と経産婦で差はなく、非医療環境下での血圧が初産婦・経産婦で差がないという先行研究とも一致した。 外来血圧のみに基づく妊婦の血圧評価では、特に初産婦の血圧を過大評価し、不要な降圧薬の投与や妊娠の早期終了につながる可能性があり、家庭血圧などの非医療環境下での血圧を考慮した血圧評価の必要性が示唆された。
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